個人事業主の資金調達方法は?融資や出資、ファクタリングの違いやメリットを解説

個人事業主の資金調達方法は?融資や出資、ファクタリングの違いやメリットを解説、個人事業主が資金調達を行う手段は多岐にわたるため、自らの状況や目的に合った手段を選ぶことが非常に重要です。多額の資金が必要となるのか、一時的に少額の資金が必要となるのかといった金額感や、いつまでに資金が必要なのかといった緊急性が判断の大きなポイントとなります。 いざというときに正しい選択ができるように、自らの状況に見合った資金調達手段を正しく理解しておきましょう。

個人事業主になると、資金繰りに不安を感じることも多いと思います。

個人事業主の資金調達のための手段は多岐にわたりますが、それぞれメリット・デメリットがありますので、ご自身の状況にあわせた資金調達手段を選べるように理解しておきましょう。

 個人事業主も利用できる「融資」とは

融資とは、お金を必要とする人に、金融機関等がお金を融通することをいいます。資金調達をするために、もっとも一般的な手段といってもよいでしょう。借金やローンと同じようなものですが、事業用資金の融通の場合は「融資」と呼ぶのが一般的です。

融資のメリット
融資のメリットには、多額の資金を調達できる可能性がある点があげられます。事業者の信用状況にもよりますが、ほかの資金調達手段を利用した場合と比較すると、大きい額の資金調達が可能となることが多いです。

 

融資のデメリット
融資のデメリットには、法的な返済義務がある点があげられます。契約で定められた返済条件・期日に従って返済を行うことが法的義務として求められるため、利用する場合には注意が必要です。

また、融資では利息(金利)が発生する点もデメリットとなります。元本と同様に利息に関しても契約で定められた条件・期日に従って支払いを行うことが法的義務として求められます。

代表的な融資としては、以下の3つがあげられます。

日本政策金融金庫

日本政策金融金庫は、国が100%出資している金融機関で、低金利での融資を期待することができます。信用度に不安がある場合も他金融機関等にくらべると利用できるケースが多いですが、審査には時間がかかる傾向にあります。

信用金庫

地域に密着した信用金庫を通じた資金調達もひとつの手段です。少額からでも気軽に資金調達の相談ができる点が大きなメリットです。一方、銀行等とくらべると多額の調達ができない点がデメリットとなります。

銀行融資

多額の資金を調達したい場合には、銀行からの融資を検討するとよいでしょう。公的な融資にくらべると審査が厳しくなることが多いですが、複数の銀行に相談することで審査が通るケースもあります。まとまった資金が必要な場合には、銀行からの融資が有力な資金調達手段となるでしょう。

 個人事業主も利用できる「出資」とは

出資とは、投資家やベンチャーキャピタルが事業者に資金提供を行うことをいいます。出資者は、成長見込みのある事業に対して資金提供を行います。それによって、将来のリターン(配当)や事業運営のパートナーとしての立場を得ることを目的とするのが一般的です。

出資のメリット
融資と異なり、返済義務がない点が出資の大きなメリットです。出資を受ける場合、法的な返済義務はないですが、出資に見合うリターン(配当等)の提供や、株価の維持および上昇によって出資(投資家)の保護をしていくための努力は求められます。

 

出資のデメリット
出資者が事業運営に対するパートナーとなるため、自らの意志だけで経営を行うことができなくなるケースもある点がデメリットとして考えられます。また、事業運営に共感してくれる出資者を見つけるのが難しいこともあるでしょうから、それもデメリットといえるかもしれません。

 個人事業主も利用できる「助成金・補助金」とは?

助成金や補助金は、国や自治体から支給される返済不要の資金のことを言います。条件を満たすことで資金を得られる可能性がありますので、どのような制度が利用できるのか把握しておくとよいでしょう。

助成金・補助金のメリット
融資等と異なり、返済不要である点が大きなメリットです。受けられる条件などは事前に開示があるため、出資を受ける場合にくらべ「売り上げを作らないといけない」というプレッシャーに悩むことも比較的少ないと考えられます。

 

助成金・補助金のデメリット
助成金や補助金には限度額があるほか、条件を満たさない限り支給を受けられないといった点がデメリットとしてあげられます。また、条件や手続きが煩雑であることも多いです。そのため、多額の資金調達が必要な場合には、融資や出資等を検討する方がよいかもしれません。

 ファクタリングとは?

ファクタリングとは、期日前の売掛金や未収金等の債権を第三者に売却し、資金調達を行うことをいいます。資金繰り改善の観点から、早期に資金が必要な場合に選択される資金調達手法です。

ファクタリングのメリット1 : 早期に資金調達が可能

ファクタリングを利用する1番のメリットは、早期に資金調達が可能である点です。融資や出資を行う際の手続きは煩雑かつ時間を要することが多い一方、ファクタリングの場合は短期間で手続きを完了させることができ、審査が通れば、比較的早く手元に現金を用意することができます。早い場合には、即日中から数日間で資金調達が可能となるケースもありますので、急ぎで資金を確保したい場合には、有力な選択肢として考えられるでしょう。

 

ファクタリングのメリット2:貸倒れリスクを回避

債権を第三者に譲渡するため、貸倒れリスクを回避することも可能です。取引先の倒産などによって売掛債権を回収できない貸倒れのリスクを最小限にすることもできます。このようにファクタリングには資金繰りの改善以外のメリットもありますので、あわせて理解しておきましょう。

 

ファクタリングのメリット3:保証人や担保が不要

ファクタリングは銀行融資等とは異なり保証人や担保が不要のため、手軽に申し込みができるのも大きなメリットです。

 

ファクタリングのデメリット
ファクタリングはあくまで債権の早期回収ですから、債権の金額が上限となります。また、利用にあたって手数料が差し引かれるのが一般的ですので、手数料の金額も確認した上で、どのファクタリングサービスを利用するかを検討しましょう。

 まとめ

個人事業主が資金調達を行う手段は多岐にわたるため、自らの状況や目的に合った手段を選ぶことが非常に重要です。多額の資金が必要となるのか、一時的に少額の資金が必要となるのかといった金額感や、いつまでに資金が必要なのかといった緊急性が判断の大きなポイントとなります。
いざというときに正しい選択ができるように、自らの状況に見合った資金調達手段を正しく理解しておきましょう。

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公認会計士 赤羽応介:公認会計士として10年以上にわたりコンサルティング業務(IFRS導入支援、BPR支援、J-SOX対応支援、システム導入支援等)、監査業務といった実務に従事。その他、専門誌への寄稿やセミナー講師等を経験し、ブログ「公認会計士によるわかりやすい解説シリーズ」にて会計、税金、投資、ITに関する情報を発信している。